平成の大合併で三重県から「村」が消えた・・・・。
2011年6月に写真集「村の記憶」に収められた、そのふるさと三重の記憶の断片の一枚一枚が、東京新宿のニコンサロンで展示されることに!
展示会に詰める村の写真師・松原豊を隊長が直撃した!!
まず正直に書いておこう。
本当なら来られないはずだった。
もともとこの日は、サルシカの秋の恒例キャンプの初日で、三重南部の美しい海で泳ぎ、戯れ、海の幸や松阪牛や熊野地鶏を焼き、酒を飲み交わし、声高らかに歌って踊って騒いでいるはずだったのだ。
が、台風15号と16号が卑劣にも手を組み、東海地方をはさみ打ちにするように迫っていた。
すでに海は荒れ、キャンプ期間中はずっと雨の予報であったため、早々に中止を決断したのであった。
で、ぽっかり空いた時間をどーするか。
あ、そうだそうだ、ちょうど写真師が東京で写真展をやっておったのだ。
そうそう、しかも9月17にはオープニングパーティをやるとか言っていたなあ・・・。
よし、東京へ行こう!
というわけでやってきました!
東京です!
新都心の新宿です!
三重県を飛び出しての初レポートです!
新宿といえば、20年近くまえにワタクシがはじめて会社を興したところなのだ。
まだ当時は新宿副都心と呼ばれていて、ワタクシはここで生活し、仕事をしていたのだ。
勝手知ったる西新宿。
わはははははは、任せなさい!
勢いよく人ごみに飛び出したものの、都会の移り変わりは早い。
写真師の写真展をやっている新宿エルタワーというのがどれかわからない(笑)。
林立するビルを見上げながらアタフタと歩く。
で、見つけた。
なんだ駅前じゃないか。
まったく・・・。
ビルに大きく名前を書いといてくれればいいのに。
なかば逆切れしつつ、そのエルタワーに入る。
すると、松原豊写真展と書かれた立て看板を発見。
「おおおおおおおおおお!」
大都会にぽつんと光る三重の星。
なんかうれしい。
エレベーターに乗って、新宿エルタワー28階へ。
俯瞰の新宿。
都会のこんなところで、三重県の「村の記憶」が展示されているのか。
不釣合すぎて面白い。
さてここで。
松原さんの作品を展示している「ニコンサロン」について説明しておこう。
案内には、
ニコン創立50周年を記念して1968年1月に銀座三丁目に開設された、
写真文化の普及・向上を目的とする写真展示場です。
開設記念となる第1回写真展「木村伊兵衛の眼」を開催以来、
写真の展示や講演会の開催など、
多くの写真家・写真愛好家の方々に写真活動の場を提供してきました。
その後1971年6月に「新宿ニコンサロン」、1974年3月には「大阪ニコンサロン」を開設、
より幅広い写真活動の場として活用されています。
とある。
カメラマンにとっては憧れの場所であり、また選定された作品のみがここに展示することが出来るのだ。
そのニコンサロンに入る。
おおお、結構お客さんが来てるぞ。
展示室は思っていたほど広くない。
ワタクシも改めて写真師の作品を見る。
ワタクシの暮らす集落の景色や、集落の人びとが飾られている。
なんかうれしい。
写真師・松原氏(左)と三重が誇るローカル誌「NAGI」発行人・吉川氏。
松原氏は東京でも相変わらずうるさかった。
「あれぇ、来てくれたん~、わははははは、うれしいなあ、うれしいなったらうれしいな、わははははは」
体は小さいが声はデカイ。
そのうえ根っからのお調子者である。
しっとりと落ち着いた「村の記憶」を撮影したのが、まさかこの男だと誰も思わず、
来場者のほとんどが、いかにも落ち着いた感じの吉川さんのところに話しをしにいく(笑)。
会場には、その影武者カメラマン吉川氏が発行している「NAGI」のバックナンバーも置いてあった。
三重の写真が展示され、三重のローカル誌が置かれ、三重の人間たちが、自分たちの町、文化をアピールしている。
今回の展示会には、三重に縁がある人だけではなく、著名な写真家や文化人も訪れているという。
そして東京だけでなく、広い地域からたくさんの人が来てくれているという。
なんかうれしい。
感動的である。
松原氏の作品が広く認められたこと、
三重のふるさとの風景がたくさんに見てもらえたことが素直にうれしい。
18時より、オープニングパーティがはじまった。
会場はたくさんの人で埋め尽くされ、熱気で包まれていた。
三重から松原氏の家族や友人たちが来ていた。
古い仲間も集まっているようだった。
そして仕事でつながるさまざまな人びとがさまざま人を連れて参加していた。
パーティ開始の5分前。
写真師はワタクシのそばにちょこちょことやってきて唐突に言うのだ。
「あのさあ、隊長。司会というか進行してくれへん? せっかくやで」
なにが「せっかくやで」なのかさっぱりわからない。
が、聞いてみると、何の段取りも決めていない、どーしようなどと笑うのだ。
で、ワタクシの思いつきの進行により、パーティは進むのであった。
司会が無茶ぶりなのだから、トーゼン主賓の挨拶やスピーチも無茶ぶりである。
わずかな合間に写真師と相談してどんどん進めていく。
主賓の挨拶は、写真家の「北井一夫」氏。
なんと第1回「木村伊兵衛賞」の受賞者である。
なんの段取りもなく、無茶ぶり(笑)。
が、驚きつつも、そつなくこなすところがスゴイ。
乾杯の音頭は、NAGIの吉川氏。
もちろんこちらも無茶ぶり。
が、いつ誰に挨拶が回るかわからず、ハラハラドキドキしつつも、妙にハイテンションに盛り上がりつつ、
パーティは進んだのであった。
「音のむらきお by Yellow Soul」のプチライブも!
三重を見て、触れて、三重の音に酔う。
三重に暮らした人、縁のあった人たちから「三重はいいところだ」「第二のふるさとだ」「戻れるならば戻りたい」と次々に聞いた。
リップサービスもあるだろうけれど、素直にうれしい。
楽しい一時が終わって、
「じゃあまた三重で!」
「津で!」
という感じで写真師に声をかけて会場をあとにした。
むろん、このあと、ワタクシは東京の夜に酔った(笑)。
大都会の夜。
でもここには、ワタクシが暮らす集落の風景がある。
集落のみんなの姿がある。
松原さんの「村の記憶」の中に。